2004 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞活性化におけるラフトの役割とラフト局在化シグナルの重要性についての検討
Project/Area Number |
04J08283
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷村 奈津子 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラフト / 脂質修飾 |
Research Abstract |
アダプター分子LAT(Linker for activation of T cells)は、T細胞の分化及び活性化に必須である。 LATの構造は、わずか10アミノ酸からなる細胞外領域と膜貫通領域、様々なシグナル伝達分子を引き寄せる細胞内領域からなる。また細胞膜貫通領域直下には2箇所のシステイン残基があり、そこが飽和脂肪酸であるパルミチン酸によって修飾されることが知られている。このパルミチン酸修飾によってLATは形質膜上のラフトと呼ばれる膜脂質マイクロドメインに濃縮されている。このラフトへの濃縮はLATの機能において既にその重要性が示されてきている。 我々はこれまでに、このLATの2箇所のパルミチン酸修飾部位について、ヒトLAT及びマウスLATを用いて検討を加えた結果、マウスLATについてはパルミチン酸修飾部位に変異を入れたマウスLAT(CA)変異体では分子としての安定性を欠くようになり、蛋白質の崩壊によって野生型に比べ著しくその分子発現が低下していることを見出した。またヒトLATについてはCA変異体においても分子の発現はマウスLAT(CA)ほど低下しないものの、その局在に異常をきたしており、本来の局在部位である形質膜ではなく、主にゴルジ装置に集積していることを見出した。 また、このCA変異体の分子発現におけるマウスLATとヒトLATの違いに注目し、マウスとヒトのキメラ分子を作成、検討した。その結果、このマウスとヒトの差を生む要因は、たった10アミノ酸からなる細胞外領域に存在することを発見した。
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