2005 Fiscal Year Annual Research Report
単一イオンイベントによる高分子ナノ構造体の形成と機能
Project/Area Number |
04J08417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佃 諭志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノワイヤー / イオンビーム / 高分子 / 架橋反応 |
Research Abstract |
イオンビームの物質への照射は、イオントラックと呼ばれる極めて高い活性種濃度の化学反応場を与える。高分子薄膜ヘイオンビームを照射した際には、飛跡に沿ったイオントラック内でのみ選択的に高分子の架橋反応が引き起こされる。照射後に有機溶媒で現像を行うことによって架橋反応を起こした部位のみを単離することができ、1次元の量子細線(ナノワイヤー)が得られる。 形成されたナノワイヤーを原子間力顕微鏡(AFM)により測定することは、イオントラック内中での「化学コア」を可視化するという側面を含む。形成されたナノワイヤーの断面半径は、高分子の分子量・イオン種によるLiner Energy Transfer(LET)に依存して変化するため、ナノワイヤーの断面半径をAFMで定量的に測定し、トレースしていくことによりイオントラック内でのエネルギー付与分布と高分子の架橋効率・分子量との間に相関関係を見いだし、定式化することに成功した。 ポリシラン・ポリカルボシラン等の無機骨格を有する高分子は高い効率でSiCへの転換反応を引き起こす事が知られている。イオンビーム照射によりこれらの高分子ナノワイヤーを形成した後、雰囲気制御熱転換反応を行うことにより、無機骨格を有する高分子ナノワイヤーが1000度を超える温度条件において安定に焼成され、セラミクスナノワイヤーへ転化すると同時に、極めて高い耐熱性を有することが確認された。 また、これまで行っていた単層膜を用いたナノワイヤー形成から、異種の高分子を組み合わせた多層膜を用いた多段ナノワイヤーの形成に成功すると共に、高分子の組み合わせを生かした溶媒中での自己凝集性という新たな機能を付加することに成功した。さらに、照射量を制御することによって凝集体の形態は大きく変化していくことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)