2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物オルガネラにおけるRecA相同タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
04J08575
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小田原 真樹 立教大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 葉緑体 / ミトコンドリア / 相同組換え / 組換え修復 / ヒメツリガネゴケ |
Research Abstract |
本年度はヒメツリガネゴケのミトコンドリア型recA(PprecA1)に関しての解析を重点的に行った。 PprecA1破壊株のミトコンドリアの異常を詳細に解析するため、細胞の呼吸活性(酸素消費量)、ATP含量の測定を行った。その結果PprecA1破壊株は細胞内ATP含量には大きな異常がないものの、酸素消費量が野生株のほぼ倍の値を示すことが判明した。PprecA1破壊株のミトコンドリアでは何らかの代謝異常が原因となって、非効率的な呼吸が行われていることが予想される。 PprecA1破壊株で観察される生育の遅延やミトコンドリアゲノム上の短い反復配列での組換え体の蓄積がPprecA1の欠損が原因であることを確認するため、PprecA1破壊株に野生型PprecA1を導入したところ、PprecA1を相補した株の生育はおおよそ回復し、またミトコンドリアゲノムの組換え体も減少した。 PprecA1破壊株のミトコンドリアゲノムに生じた再編成を詳細に解析するにはミトコンドリアゲノムの配列情報が必須であるが、完全な配列解読はなされていない。そこで、ショットガンシークエンシング法によって配列が順次公開されているヒメツリガネゴケの配列(核、葉緑体、ミトコンドリア全てのゲノム配列を含む)からミトコンドリアゲノムと予想される配列を抽出してミトコンドリアゲノムの全配列を再構築することに成功した。構築したヒメツリガネゴケミトコンドリアゲノム配列を基に解析を行ったところ、多数の短い反復配列(<100bp)の存在が明らかになった。これらの反復配列のうちいくつかに関して解析を行った結果、PprecA1破壊株に特異的な組換え体の蓄積を確認することができた。以上の結果は、PprecA1破壊株のミトコンドリアゲノム上の様々な部位の間で再編成が起こっていることを示す。
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