2007 Fiscal Year Annual Research Report
チオスルフィニル基を有する化合物の合成、構造、反応に関する研究
Project/Area Number |
04J08660
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉田 佐奈枝 Saitama University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チオスルフィニル基 / チオノサルファイト / チオスルホキシド / 1.2.5-チアジアゾリジン1-スルフィド / ジスルフィド |
Research Abstract |
申請者は、既に環状チオノサルファイト(-OS(=S)O-)の合成と単離、その構造と性質の解明に成功している。本研究では次の段階として、チオスルフィナートROS(=S)Rの合成と、その性質を明らかにすることを目的とした。最終的には、ジアルキル、もしくはジアリールのチオスルポキシドRS(=S)Rの合成と、その性質を明らかにすることを目的とした。これまでの研究で、チオスルフィニル(>S=S)基の安定化が非常に困難であることが示された。そこで本年度は、次の二つの要因による>S=S基の安定化を図った。 1:窒素原子と、その上に置換基を導入することによる、>S=S基隣接位の電子的な安定化の検討。 昨年に引き続き、種々のジアミンと一塩化硫黄との反応を検討した。しかし、昨年合成に成功した1,2,5-チアジアゾリジン1-スルフィド(-NS(=S)N-)以外に、>S=S基を有する化合物を得ることは出来なかった。この反応では、期待する>S=S基以外に、ジスルフィド(-S-S-)結合を有する構造異性体が生成する可能性もある。そこで、窒素上の置換基の電子的な性質が>S=S基にどのような影響を及ぼすのか、DFT計算を用いて検討した。その結果、窒素原子上の置換基の性質だけでなく化合物の立体構造も大きな影響を持つことが明らかとなり、窒素原子上の負電荷が大きいほうが>S=S基を安定化する傾向が見られた。このことは、これまでの経験的な知見にも一致する。 2:嵩高い置換基による>S=S基の速度論的な安定化の検討。 窒素上にアダマンチル基を導入したジアミンを合成し、一塩化硫黄との反応を検討した。しかしながら、>S=S基を有する化合物を得ることは出来なかった。
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Research Products
(3 results)