2004 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群新規自己抗原のプロセシング機構と自己免疫病態との関係
Project/Area Number |
04J09158
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 健介 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 自己免疫疾患 / シェーグレン症候群 / IQI / Jicマウス / 自己抗原 |
Research Abstract |
平成16年度、ヒトのシェーグレン症候群における自己免疫病態の分子機構の一端を明らかにする目的で、新規動物モデルIQI/Jicマウスの解析を遂行してきた。 シェーグレン症候群では、涙腺・唾液腺に始まった炎症が全身諸臓器へ波及する症例が多く、その機序として、標的臓器に共通に発現する自己抗原の関与が示唆されているが、詳細は明らかにされていない。そこで、4週齢から52週齢までのIQI/Jicマウスの全身臓器を病理組織学的ならびに免疫組織化学的に検索したところ、老齢マウスでは、これまで報告されている涙腺炎・唾液腺炎に加え、肺、膵臓、腎臓にもリンパ球浸潤巣が認められることが明らかとなり、専門誌に発表した(Takada et al.2004.Rheumatology 43:858-86)。また、初期の病変は唾液腺に限局して発症し、その後、加齢に伴って他の臓器に現れることが示された。 これらの結果を受け、IQI/Jicマウスにおける多発性自己免疫病変に関連した自己抗原の同定を試みた。IQI/Jicマウスの血清中自己抗体と反応するポリペプチドを、唾液腺抽出物からHPLCによって精製し、N末端アミノ酸配列解析を行った結果、マウスカリクレイン(Klk)-1および-13であることが明らかとなった。IQI/Jicマウスの血清中自己抗体は、これらKlkに対して交差性に反応し、さらに、脾細胞はKlk-13に特異的な増殖反応を示した。また、RT-PCR法による検索から、Klk-13の発現は唾液腺で最も豊富であるとともに、他の標的臓器にも共通に発現していることが明らかとなり、IQI/Jicマウスにおける唾液腺から他臓器への炎症波及に、Klk-13に対する自己免疫反応が関与している可能性が示唆された(Takada et al.2005.Journal of Biological Chemistry 280:3982-3988)。
|
Research Products
(2 results)