2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J09185
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 文化心理学 / 包括的認知 / 評判 |
Research Abstract |
本研究は、人々が作り出す社会的状況とその状況に埋め込まれた個人の関係を、比較文化研究の知見を手がかりとして明らかにするものである。マクロ変数として、当該社会で優勢な交換形態に注目し、各個人が優勢な交換形態に応じてその心理・認知メカニズムを変容させるという理論モデルを検証する。報告者が注目する交換形態とは、具体的には、各人の相互依存関係が集団内に閉ざされる交換形態と、関係が集団を超えて拡張していく交換形態という2種類の関係のあり方である。報告者の仮説では、集団内に閉ざされた交換形態においては、比較文化研究に言うところの東アジア型の認知スタイル(包括的認知スタイル)が適応的となる。一方、拡張型の交換形態においては、欧米型の認知スタイル(分析的認知スタイル)が適応的となると考えられる。以上の理論仮説を実証することが本研究の最終的な目標であるが、本年度は、まず、集団内に閉ざされた相互依存関係を繰り返し経験することにより、東アジア型の認知スタイルが優勢となることを示す実験を行った。具体的には、集団内の他者と意見を一致させることが要求される課題を経験すると、東アジア人に優勢とされる外的帰属傾向が顕著になることが示された。また、他者と意見が一致することに失敗した経験が多い人ほど、東アジアに特徴的とされる多数派選好や周辺情報を考慮した感情判断が優勢となることが示された。これらの実験結果をもとにした論文を現在執筆中である。さらに、集団主義的傾向が、集団からの排除の恐れを経験することにより強くなることを示す実験が現在進行中である。予備実験はすでに実施され、現在、本実験の準備が進められている。
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Research Products
(1 results)