2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線型クライン・ゴルドン方程式における時間大域解並びに爆発解について
Project/Area Number |
04J09199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 浩宣 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クライン・ゴルドン方程式 / 時間大域解 / 散乱問題 / 逆散乱問題 / ストリッカーツ評価 / ソボレフ空間 / 関数空間の補間理論 / ローレンツ空間 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続きHartreeタイプの項を非線形項にもつクライン・ゴルドン方程式の散乱問題及び逆散乱問題を中心に研究し、それらの成果を研究集会等で発表した。 <散乱問題について> 散乱問題は方程式の散乱作用素("非線形さ"の度合い)を求める問題であるが、言い換えれば時間大域解の存在、及びその一意性、さらには解の漸近挙動を統括的に扱う分野である。 昨年度において「投稿準備中」と記した結果は今年度「Discrete and Continuous Dynamical Systems-Series A」に掲載される予定である。 さらに今年度は、Hartreeタイプに代表される非局所的非線瀬と冪タイプに代表される局所緋線形項との関連に興味を持った。そして、ある非局所的非線形項からなる方程式の散乱作用素の列は局所的非線形項からなる方程式の散乱作用素に適当な意味での収束をすることを証明した。概して言えば「非局所的相互作用のある種の度合いが薄まれば連続的に局所的作用に近づく」ことを厳密に示したことになる。 この結果は現在査読中である。 <逆散乱問題について> 逆散乱問題は「既知なる散乱作用素の性質から、非線形項のより具体的な性質を探り出す」という、いわゆる逆問題の領域であるが、前述した散乱問題の更なる応用とも解釈される分野であり、時間大域解の更に詳しい性質を見出せる可能性を秘めている。 今年度は、既存の方法を大幅に改良し、より一般的な非線形項の性質を探り出すことが出来ることを証明した。この証明には昨年、研究代表者によって得られた散乱問題の手法も用いられている。 この結果は近々「Nonlinear Analysis : Theory, Methods & Applications」に掲載される予定である。
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