2004 Fiscal Year Annual Research Report
キタヨコエビ科端脚類(節足動物門:甲殻網)の生息場所の多様化と適応
Project/Area Number |
04J09246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富川 光 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分類 / 系統 / キタヨコエビ科 / ヨコエビ亜目 / 甲殻綱 |
Research Abstract |
トゲオヨコエビ属の分類学的再検討 トゲオヨコエビ属は日本、中国、ロシア、カナダそしてアメリカに分布するキタヨコエビ科の1属である。これまでに10種が記載されている。今回、北海道の2河川から本属の未記載種1種が見つかった。本未記載種は、第1触角の鞭状部に各節2個の感覚器(aesthetascs)をもつ点で特徴的であったが、既知種の原記載論文は多くが不十分であるため、標本の観察が不可欠であった。そこで、日本各地から採集した標本に加え、カナダ自然博物館からタイプ標本を含む多数個体の標本を借用し、研究に用いた。標本が手に入らなかった2種を除く既知種8種の再記載を行うと共に、日本産の未記載種を新種として詳細に記載した。この結果は、現在投稿準備中である。 テングノウニヤドリ属の分類学的研究 テングノウニヤドリ属はテングヨコエビ科のヨコエビで、世界から3種D.echinoicus、ナミテングノウニヤドリD.obsolescens、D.echinoidesが知られている。本属では、D.echinoicusがチシマオオバフンウニの棘間に生息することが報告されている。今回、北海道室蘭市、登別市、福島町沿岸のエゾバフンウニから本属の1種Dactylopleustes sp.が見つかった。本種は、形態的にD.echinoidesに似ていたが、正確な同定を行なうためにD.echinoidesのタイプ標本を観察する必要があった。そこで、カナダ自然博物館所蔵のD.echinoidesのタイプ標本を借用し、詳細な観察を行った結果、北海道産のDactylopleustes sp.は未記載種であることが分かり、記載論文を発表した。 キタヨコエビ科の分子系統学的研究 キタヨコエビ科のうち材料の得られた10種を用い、分子系統解析を行なった。まだ予備的実験段階であるが、オオエゾヨコエビ属の単系統性などが支持される結果が得られた。今後更に種数を増やして解析を行う予定である。
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