Research Abstract |
・キタヨコエビ科の中で最も種数の多いトゲオヨコエビ属の全種の標本を観察し,北海道から得られた1新種Eogammarus itotomikoae sp.nov.および日本新記録種2種E.barbatus(Derzhavin,1965), E.tiuschovi(Derzhavin, 1927)の記載を含むトゲオヨコエビ属のリビジョンを完成させた.これにより,日本産トゲオヨコエビ属は5種になった. ・本州・四国の間隙水から得られた所属不明のヨコエビ3種の分類学的研究を行い,2新科2新属を設立した.これらは,形態的には地下水性のメクラヨコエビ科に似ていたが,分子系統解析の結果,ヨコエビ上科に属することが分かった.また,触角上のcalceoliの形態が高次分類群レベルの分類に有用であることが確認できた. ・キタヨコエビ科内の系統関係およびキタヨコエビ科の系統的位置を明らかにするために,キタヨコエビ科の7属を含む3上科7科の28SrDNAの塩基配列を決定し,系統樹を作成した.その結果,キタヨコエビ科の単系統性が支持された.また,ヨコエビ類において,海から淡水域への侵入は独立に何度も生じたことが示唆された.生息環境の異なるキタヨコエビ科9種の鰓の表面構造を,走査電子顕微鏡を用いて観察したが,構造上の違いは見られなかった.加えて,鰓の切片標本を作製し観察を行ったが,これらにも構造上の違いは見られなかった. ・カイアシ類3種,沖縄から得られたAllocyclops属,ケニアおよびネパールから得られたOchridacyclops属の分類学的研究を行い,3新種A.austronipponicus sp.nov.,O.kenyaensis sp.nov.,O.nepalensis sp.nov.を記載した.
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