2004 Fiscal Year Annual Research Report
イネ着色多様性の分子機構-基本着色遺伝子CおよびAの複対立系分化と遺伝子系譜
Project/Area Number |
04J09256
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 久美 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | イネ / 表現型多様性 / 塩基多様度 / 遺伝子系譜 / アントシアニン |
Research Abstract |
本研究は、イネにおける多様な着色様式に注目して、表現型多様性を獲得するに至る過程と遺伝的機構を明らかにして、新しい有用形質を創造するための育種的基盤を探索することを目的としている。本年度は、高橋(1957)により遺伝学的に実証されたイネアントシアニン着色基本遺伝子C、A両座の遺伝子系譜を調査した。C座は第6染色体上のOsC1に対応することが判明しているので、A座の連鎖分析を縁遠種(O.longistaminata)のA遺伝子のプロモーター領域にあるindelを利用して調査した。その結果、A遺伝子は第1染色体のDFR遺伝子と共分離することと、非着色の複対立遺伝子からストップコドンが検出されたことから、A遺伝子はDFR遺伝子に対応すると結論された。さらに、O.longistaminataがもつA遺伝子は、O.sativaで報告された抑制遺伝子の作用を受けない新たな対立遺伝子であることが判明した。次に、C座で43系統、A座では48系統で塩基配列を決定した。両座とも栽培型・野生祖先種間で異なるハプロタイプが見られ、C座では栽培型で変異が起こり、McDonald-Kreitmanテストからアミノ酸変異が選択される傾向を示し、A座でも、栽培型で新たな変異が生じていた。A遺伝子のプロモーター領域を比較したところ、著しい多型が系統間で検出された。その結果、日本型には明瞭なdimorphismが存在し、コシヒカリや北海道品種の中には起源の異なる遺伝子系譜をもつことが判明した。今後、近傍領域を含めて連鎖不平衡パターンを調査し、転写制御遺伝子としてのOsC1とアントシアニン合成酵素DFR遺伝子の表現型多様性への寄与を比較する。
|
Research Products
(1 results)