2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブロッホ波動関数のつくる位相ホロノミーとその強相関電子系への応用
Project/Area Number |
04J10067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
進藤 龍一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スピントロニクス / ベリー位相 / 磁気単極子 / 電子波束 / 半古典的運動方程式 / 軌道流 / 電気分極 / 局在長 |
Research Abstract |
近年になって、バンド構造の中に潜むさまざまな磁気単極子とそれに起因するベリー位相の、スピントロニクスへの応用が実験理論両面から活発に研究されるようになってきた。本研究ではこれを受けてブロッホ関数を使って構成される電子波束の従う半古典的運動方程式を一般的に求めた。私が導出した運動方程式は、線形応答の範囲内では漸近的に厳密であるだけでなく、従来信じられてきた運動方程式にさまざまな補正が加わることを明らかにするものである。具体的に明らかにされたことは、まず一点目として、従来の運動方程式中に補正としてはいるベリーの曲率には2種類あって、ひとつは波束を構成するバンドを考えている伝導バンドに限定していることからくるものと、もうひとつは、局所ブロッホ関数(波束を構成する際に導入された基底)が時間に依存することからくる曲率があるということである。二点目に明らかにされたことは、k空間中の非可換ゲージ場が電子波束に付随するスピンや軌道モーメントに自転を及ぼすということである。私はこの運動方程式の導出を更に推し進めて、スピンや軌道といった波束の内部自由度に関連した新しいタイプの電流(スピン流や軌道流)を、Hall-type polarization typeの二種類に分けて分類し、それらがk空間中のベリーの曲率を使ってどのよう表現されるかを明らかにし、その表現に立脚して、スピン流や軌道流の固体中での消滅則を議論した。又私は、以上の電子波束の運動方程式に関する研究と同時並行的に、絶縁体中の非一様な電荷分布を記述するための(秩序)変数の構成にも従事してきた。後者の研究では、粒子の統計変換の際に使われるdisorder parameterの絶対零度での期待値を、金属、バンド絶縁体、モット絶縁体(U無限大の場合のみ)について解析的に調べた。
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Research Products
(2 results)