2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブロッホ波動関数のつくる位相ホロノミーとその強相関電子系への応用
Project/Area Number |
04J10067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
進藤 龍一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Fermi流体 / Maxwell形式 / dual vortex field / disorder operator / dual monopole field / Keldysh formalism / Landau function / spin wave mode |
Research Abstract |
本年度の成果の一つは、 フェルミ流体の有効理論をケルディシュ形式に基づいて導出し、準粒子の従う実効的な運動方程式に従来知られていた「人工的な磁場」の他に、「人工的な電場」が現れることを示したことがある。具体的には準粒子スペクトルを固有値として与えるスペクトラル関数の固有状態として、繰り込まれたブロッホ波動関数を導入すると、それは一般には結晶波数と周波数の二つに依存したものである。従ってこれらを「空間」と「時間」と見立てて、繰り込まれたブロッホ関数の「時空」上でのベリーの曲率として人工的に電磁場を導入することができる。この際、人工的な磁気単極子はバンド交差点として導入されるが、電気単極子は一般に量子化しない。その代わり磁気単極子が「時空」上でつくるカレントを通じて電場のcurlと磁場の時間微分が与えられる点は、実空間のMaxwell形式と対応する。さて、自分は、先ず、一般の多バンド電子相関模型に対応するケルディシュ形式から出発して、gradient展開に関してwell controlledされた摂動展開を行い、フェルミ面を構成する準粒子のスペクトラル関数についての有効ケルディシュ方程式を導出し、スペクトラル関数の重みが従来知られていた準粒子の繰り込み因子の他に、人工的な電磁場と実際の電磁場の内積で与えられる付加的な繰り込み因子によって特徴づけられることを見出した。これは、フェルミ流体の枠組みに入る人工的な電磁場が角度分解光電子分光から波数分解な形で検知できることを示しており興味深い。また、自分は、導出した有効ケルディシュ方程式から、更に準粒子の従う運動方程式を読み解き、人工的な磁場のほかに人工的な電場と実際の速度の外積で与えられるベクトル量が、波数空間で、準粒子に掛かるローレンツ力として現れることを見出した。これは、強磁性金属での異常ホール効果として、人工的な電場も影響していることを表しており興味深い。
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