2004 Fiscal Year Annual Research Report
中性子-重陽子弾性散乱による三体力のスピン依存項の研究
Project/Area Number |
04J10087
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 幸重 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 三体力 / 核力 / 中性子-重陽子弾性散乱 / 偏極度計 / クーロン力 / 相対論効果 |
Research Abstract |
本研究は近年世界的に注目を浴びている核力の三体力の問題に対する最終的な結論を得ることを目的とする。クーロン力の働かない三体系である偏極中性子-重陽子弾性散乱における偏極移行係数の角分布を測定することにより、三体力のスピン依存性に関する決定的な知見を得る。核力は原子核を解明するための基本要素であるから、この研究により得られる成果は原子核研究のあらゆる分野に影響を与える。 本年度は、後方角度である重心系60度〜180度に渡る偏極移行係数の測定を目指し、実験に必要な検出器の製作及びテストを行った。実験は我々がRCNPに建設した(n,p)実験施設において行い、反跳重陽子を運動量磁気分析スペクトルメーターLASで分析した後に検出する。 偏極移行量の測定では反跳重陽子の偏極度を測定する必要があり、この目的のためには現在LAS焦点面に建設が予定されている焦点面偏極度計(FPP)を使用する。このFPPは陽子偏極度計として計画されたものであり、本研究において重陽子偏極度計として使用するためには、FPPの改造、ベクトル及びテンソル偏極分解能の較正を行う必要がある。そのため、重陽子偏極度計としての性能のシミュレーション計算及び必要な陽子偏極度計からの仕様変更の決定を行った。 また、偏極度計に用いる多芯線型ドリフトチェンバー(MWDC)の信号読み出しテストを行い、実際に実験を行うときの読み出しシステムの構築を始めた。さらに、ホドスコープとして使用するプラスチックカウンター群の製作とホドスコープ及びMWDC用の架台の設計・製作を行った。
|