2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子と連続体のマルチスケール法による固液接触現象のミクロ流体解析
Project/Area Number |
04J10109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
塩見 淳一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Molecular dynamics simulation / Single-walled carbon nanotube / Liquid-solid interface / ^<13>C isotope / Non-Fourier heat conduction / superlattice / Thermal boundary resistance / Mass transfer |
Research Abstract |
分子と連続体のマルチスケール法を角いた界面物理の解析を視野に入れ,分子動力学シミュレーションを用いた伝熱および物質輸送に関する研究を行った.分子スケールシステムとして,近年注目されている単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotubes, SWNT)を含む系を用いて,伝熱及び物質輸送現象と取り扱った. まず,SWNTに同位体が混入した場合の熱伝導への影響を検証した.^<12>Cと^<13>Cで超格子構造を形成したところ,熱伝導率が最小値をとる周期幅が存在することがわかった.フォノンの分散関係を求めることにより,この傾向を境界でのフォノン散乱効果とゾーンフォールディング効果の周期幅への依存性によって説明した. さらに,SWNTの非平衡熱伝導の計算を,フェムトレーザーによる加熱を想定して行った.フェムトからピコ秒程度の局所パルス加熱を行った結果,波動的熱伝導が観測された.この熱波に寄与するSWNTの振動モードを、ウェーブレット解析を用いて明らかにした. 次に,SWNTと周囲の物質の界面熱抵抗を,SWNTと水,SWNTとSWNT, SWNTとLennard-Jones分子等の界面に関して求めた.SWNTをパルス加熱し,周囲の物質との温度差の時系列を観察することによって熱抵抗を計算し,さらに周囲の物質の相変化の影響を考察した. 最後に,SWNTに吸着した液体の輸送現象に関して計算を行った.水クラスターがSWNTに内包された場合と,SWNTバンドルの外面の谷間に吸着した場合の2つの系に対し,SWNTの軸方向に温度勾配を与えると,水分子同士及び水とSWNTの間のポテンシャルの温度依存性により,水クラスターは温度の勾配に沿って温度の低い方向へ輸送されることを示した.2つの系を比較した結果,後者の方がポテンシャルの温度に対する感度が大きく,輸送効率が高いことを明らかにした.
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