2004 Fiscal Year Annual Research Report
嗅細胞軸索の標的糸球への選択的投射を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
04J10320
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 文昭 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経科学 / 嗅覚系 / 軸索投射 / 標的認識 |
Research Abstract |
本研究は、嗅細胞軸索が標的糸球へと投射する分子機構の解明を目的としている。"マウス嗅球表面に存在する約2000個の糸球は、そこに発現する膜タンパク質の組み合わせの違いによって区別できる"という仮説を検証すべく研究を進めている。 平成16年度は、プロテオーム解析により既に得られていた嗅球糸球層に発現する約700種の膜タンパク質リストの中からまず細胞接着分子に着目した。特に、これまでに嗅覚系における発現が報告されていない分子12種についてin situ hybridization法や抗体を用いた免疫組織化学染色法を用いて、候補分子を発現する細胞種の同定や発現時期の解析を行った。これらの解析を通して、ロイシンリッチリピートファミリーに属する膜タンパク質の一つ5T4が嗅球内の抑制性介在ニューロンである傍糸球細胞および顆粒細胞のサブセットに発現していることを明らかにした。さらに、顆粒細胞において5T4は主に嗅球投射ニューロンの一つである房飾細胞とシナプス結合するサブセットに選択的に発現することや、房飾細胞-顆粒細胞間のシナプス形成が盛んに行われる生後数週間に発現レベルが上昇することなどを見出した。これらの結果は、5T4が特定の神経細胞間の選択的なシナプス形成に関与していることを示唆している。5T4は糸球内に樹状突起を伸展させる傍糸球細胞のサブセットにも発現しており、特定の嗅細胞軸索と傍糸球細胞間の選択的シナプス形成に関わっている可能性が考えられる。今後は、傍糸球細胞における5T4の局在や発現時期の詳細な解析行い、上記の可能性を検証する。また、他の候補分子についての発現解析も並行して進め、嗅細胞の選択的軸索投射の分子機構の解明を目指す。
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