2004 Fiscal Year Annual Research Report
労働力の非正社員化・外部化に関わる人材戦略と人的資源管理の課題
Project/Area Number |
04J10497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 琢磨 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 外部人材 / 派遣労働者 / 請負労働者 / 派遣会社 / 請負会社 / 人的資源管理 / 事業戦略 / 人材育成 |
Research Abstract |
本年度は、アンケートデータの分析及び事例調査により、製造部門・設計部門における派遣労働者、請負労働者の活用における問題点とその原因を明らかにすることを試みた。その結果、派遣労働者や請負労働者の外部人材の活用が、職場のパフォーマンスに負の影響を与える理由は、人員構成における比率や職員分担のあり方ではなく、外部人材の定着率が低いことであることが分かった。 コスト削減圧力や需要変動の不確実性の増大により、企業は、外部人材への依存度をより高めようとしており、外部人材には、従来よりも高度な業務を担えるだけの技能が求められている。 しかし、外部人材の定着率の低さにより、必要十分な人材育成投資が行えず、企業の外部人材の活用余地は制約されている。このことは、外部人材の供給主体である派遣会社や請負会社にとっては、事業展開上の制約となっている。そのため、一部の派遣会社や請負会社では、能力開発型の人事管理を採用することによって、人材の定着化と技能向上を目指し、同業他社との差別化を図ろうとしている。 その結果、派遣会社や請負会社では、事業戦略に整合的な人的資源管理のシステムが構築されつつある。能力開発型の人事管理システムによって差別化戦略を採る企業は、ユーザー企業の外部人材に関する新たな活用ニーズに対応し、人材の外部化をさらに進める要因となりうる。しかし、こうした能力開発型の人事管理システムの運用が、コスト競争の激しい派遣・請負産業において長期的に維持できるかを検証するのが来年度課題である。この検証は、今後の企業の外部人材への適正な依存度を明らかにする上でも重要である。
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Research Products
(4 results)