2004 Fiscal Year Annual Research Report
1920-30年代「大日本帝国」における総合・大衆雑誌の中の心象地理に関する研究
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04J10537
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
前島 志保 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自他表象研究 / メディア研究 / 近代大衆文化史 / 帝国主義・植民地主義 / クロス・ジャンル研究 / 雑誌研究 / 心象地理 / 日本:朝鮮半島(韓国・北朝鮮):台湾 |
Research Abstract |
平成16年度は、研究対象である1920-30年代「大日本帝国」内で発行されていた古雑誌のうち、当時の「内地」で出版された日本語大衆雑誌(『キング』『主婦之友』など)を中心に、調査を行った。この調査を通して、雑誌メディアの表象を通じて反復・継承されていく心象地理を明らかにする上で具体的に分析していくべき現象とテキストジャンルをいくつか抽出した。目下、これを受けた形で、日本語の総合雑誌(『中央公論』『文芸春秋』など)やグラフ誌・週刊誌を調査中である。平成17年度は、これらの現象から浮かび上がる心象地理を、クロス・ジャンル研究的手法・歴史学的手法・歴史社会学的手法・文化学的手法を用いて、詳細に分析・検討する予定である。 また、上述した研究に価する現象に関する、日本語、英語による先行研究と、これらの現象の考察に資すると考えられる、帝国/植民地主義と大衆文化の相関に関連する理論的研究を渉猟し、個別研究と理論研究の両側面から、従来の研究の動向を概観した。今後は、これら従来の研究の成果を批判的に受け継ぎながら、韓国における関連研究も踏まえつつ、当該雑誌テクストの具体的分析を行っていく。 さらに、本年度は、朝鮮半島および台湾で同時期に発行されていた雑誌の予備調査も行った。平成17年度は、引き続き、重点的にこれらの雑誌の調査を行い、「内地」の雑誌テクストの分析結果と比較・考察していきたい。 なお、本年度の研究成果の一部は、2004年6月18日、オレゴン大学(University of Oregon)で行われた北米のアジア研究学会(Asian studies on the Pacific Coast)で、"Modernity in Advertisements in the 1930s Japanese Empire"と題して発表し、参加者から批判と助言をあおいだ。
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