2004 Fiscal Year Annual Research Report
偏光解析に基づく透明物体の3次元形状・屈折率・吸収係数の計測技術の開発
Project/Area Number |
04J10863
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 大輔 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 偏光解析 / 透明物体 / 3次元形状計測 / 偏光レイトレーシング法 |
Research Abstract |
本研究ではガラスやアクリルなどの透明な物体の3次元形状を計測する技術の開発を目的として研究を行った. 初年度である本年度では以下のことを行った. (1)本年度の最初では,透明物体を反射・透過した光の偏光状態を計測するための計測装置の開発を行った.まず,ジオデジックドームを組み立て,36個の光源を空間的に均等に配置し,光源の不均一性による計測誤差を減少させた.また,駿河精機製のモータで偏光板を回転させ,そのモータをコンピュータで制御する仕組みをその計測装置に取り入れ,計測の手間と時間を大幅に削減した. (2)本年度の半ばでは,偏光を用いたレイトレーシング法を実装し,透明物体内部の光の進行方向や光の偏光状態がどのように変化するかを解析した.偏光の計算にはミュラー計算法を用い,光線の動きの計算にはレイトレーシング法を用いた.レイトレーシング法の計算には長大な時間が必要であるという問題があるが,アルゴリズムに工夫をし,さらに最新のコンピュータを使い,これを克服した. (3)本年度の最後では,この計測装置と偏光レイトレーシング法を用いて透明物体の3次元形状を高精度で計算するアルゴリズムを開発した.この手法は,偏光レイトレーシング法で生成した偏光データと,計測装置で得られた偏光データとの差を最小化する反復計算法となっている.この手法で現実の透明物体を計測して評価を行った結果,従来法よりも高精度で3次元形状を得ることができることが確認された. 本年度の研究成果は,和文論文誌に1件,査読つき国際学会に2件発表されることが決まっており,査読つき国内学会に3件と査読なし国内学会に1件発表済みである. 最終年度である来年度ではこの高精度3次元幾何情報をもとに屈折率と吸収係数を計測する手法を開発する.
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