2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗真菌活性四環性ジテルペンSordarinの全合成研究
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04J10911
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 俊介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Sordarin / Sordaricin / 酸化的ラジカル反応 / 銀触媒 / ペルオキソ二硫酸アンモニウム / シクロプロパノール / β(1,2-cis)-グリコシド結合 / 1,3-立体制御 |
Research Abstract |
Sordarinは、子嚢菌sordaria sraneosaの代謝産物であり、真菌のタンパク質合成を選択的に阻害する。その構造は、多置換ノルボルネンを含む特異な四環性ジテルペン骨格に、異常構造を有する6-デオキシ糖がβ(1,2-cis)-グリコシド結合で結ばれたものである。前年度(平成16年度)は、ピコリン酸マンガンを用いる酸化的ラジカル環化反応、パラジウム触媒を用いる分子内アリル化による多置換ノルボルナノンの構築法を用いて、アグリコンsordaricinのラセミ合成を達成した。平成17年度は、キナ酸を不斉源として用い、新たに銀触媒を用いる酸化的ラジカル反応、1,3-遠隔立体制御を利用するβ(1,2-cis)選択的なグリコシル化反応を開発して、(-)-sordarinの初の合成を達成した。 前述のピコリン酸マンガンを用いるシクロプロパノール誘導体の酸化的ラジカル環化反応は、アグリコン部の3つの連続する不斉炭素中心を有するビシクロ[5.3.0]デカン-3-オン誘導体を立体選択的に合成できるが、化学量論量の金属酸化剤を必要とするため、大量合成に不向きであった。本反応は、合成の初期段階で用いており、大量合成を可能にする触媒化が望まれていた。種々検討した結果、触媒量の硝酸銀(I)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ピリジンの組み合わせを用いることで触媒的にシクロプロパノールの酸化的ラジカル環化反応を進行することを見出した。これより合成したビシクロ[5.3.0]デカン-3-オン誘導体より、前年度に開発した合成ルートに沿って、(-)-sordaricinへと導いた。 Sordarinの有するβ(1,2-cis)-グリコシド結合は、糖供与体3位に導入した4-メトキシベンゾイル基の1,3-遠隔関与を利用することで立体選択的に構築できることを見出した。合成した(-)-sordarinの各種スペクトルデータ、および生物活性は、天然物のそれと完全に一致した。
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Research Products
(1 results)