2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10928
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田代 省平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子認識 / ペプチド / チューブ / 自己集合 / ポルフィリン |
Research Abstract |
近年、分子認識における機能化の観点からペプチドの認識が注目を集めている。ペプチド認識において最も重要なことは、あるアミノ酸配列のみを選択的に認識する「ペプチドの配列認識」であると考えられる。本研究では、チューブ状錯体の特異な内部空間をペプチド認識に適用することによって、顕著な配列選択性を見いだした。本研究で用いたチューブ状錯体は、ポルフィリン多座配位子3分子とシス位を保護したパラジウム錯体6分子から自己集合する。NMRよりポルフィリンチューブ錯体は、チロシンを含むオリゴペプチドを効率良く包接することを見いだした。吸収スペクトルとNMR競争実験からペプチドとの会合定数を算出したところ、ポルフィリンチューブ錯体は類似した配列の中でもTyr-Tyr-Ala配列を選択的に強く認識することを見いだした。一方、立方八面体構造を有する中空かご型錯体においても同様の検討を行ったところ、ポルフィリンチューブ錯体とは異なった選択性を見いだした。すなわち、かご型錯体の場合ではTyr-Tyr-Ala配列よりもTrp-Trp-Ala配列を100倍以上強く認識することが分かった。そこで、かご型錯体とTrp-Trp-Ala包接体の単結晶を作成しX線結晶構造解析を行ったところ、トリプトファンのインドール環とアラニンのメチル基が、かご型錯体とπ-π、およびCH-π相互作用していることが明らかとなった。さらにNMRより、溶液中でも同様の構造が保たれていることが示唆された。このことから、錯体とペプチドが協同的に多点相互作用することによって、ポルフィリンチューブ錯体、およびかご型錯体における顕著な配列選択性が観測されたと考えられる。
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Research Products
(2 results)