2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの多関節動作システムにおける中枢神経系の身体特性把握メカニズム
Project/Area Number |
04J10985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平島 雅也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経系 / 身体特性 / トルク / 三次元動作 / 熟練度 / 関節 / 動力学特性 |
Research Abstract |
「身体特性を把握し利用する能力」は、脳・神経系の極めて重要な能力の一つである。本研究は、予備動作や過去の経験を通じて獲得した身体特性情報が、実際のスポーツ動作中でどのように利用されているのかを検討した。身体特性情報の把握状況を調べるためには、相互作用トルク解析法が有効であるが、これまで三次元動作へ適用可能な解析法は存在しなかった。そこで本研究はまず、トルク非直交分解という手法を用いて三次元動作の相互作用トルク解析法を開発した。次に、その解析法をバドミントンの熟練者と未熟練者のスマッシュ動作に適用し、獲得されている身体特性情報の違いについて検討した。 日常的な上肢リーチング動作に関する先行研究において、手関節、肩関節で補助的相互作用トルクを生成することが困難であることが知られている。それにも関わらず、バドミントンの熟練者は手関節屈曲、肘関節伸展、肩関節内旋において、補助的相互作用トルクを生成することができた。この結果は、熟練者が全身3次元動作特有の身体の動力学的特性を把握していることを示唆するものである。 一方、未熟練者が補助的相互作用トルクを生成し利用することができたのは、肘関節のみであった。肘関節は、補助的相互作用トルクを得るのに有利な形態的特徴を有しており、日常的なリーチング動作において、補助的相互作用トルクが利用されている関節である。この結果は、未熟練者が日常的な上肢運動の動力学的特性を把握しているものの、全身3次元動作の動力学的特性は把握していないことを示唆するものである。このように、本研究は、三次元動作の相互作用トルク解析法を用いることによって、熟練レベルに応じて、獲得されている身体特性情報が異なることを示すことに成功した。
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Research Products
(1 results)