2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー照射によるサルのV1-LGNフィードバック経路のみの選択的破壊技術の確立
Project/Area Number |
04J11195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
纐纈 大輔 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザー / 逆行性輸送物質 / クロリン / 選択的破壊 / 一重項酸素 / ペプチド結合 / 1次視覚野 / 外側膝状体 |
Research Abstract |
脳の一部が破壊されたときに見られる脳機能の障害からその破壊された脳部位の機能が推定でき、外科的手術などにより脳部位の除去などが行われてきたが、これらの手法ではある領域に存在する神経細胞全部を破壊してしまい、ある特定の種類の神経細胞だけを選んで破壊することは不可能である。本研究では、レーザーを用いることで、ある投射関係にある神経細胞のみを選択的に破壊できるこれまでにない画期的な脳障害モデルの確立を試みている。方法としてはまず光活性物質であるクロリンをビーズ(逆行性輸送物質)に結合させ、これを脳内に注入した。このビーズ-クロリン複合体は軸索末端のシナプスから取り込まれ、逆行性輸送により神経細胞の細胞体へと運ばれる。そして逆行性輸送される先の部位にレーザーを照射した。するとクロリンが活性化して一重項酸素を産生して神経細胞死を誘導する。このモデルではいかに多くのクロリンをビーズに結合できるかがポイントであり、幾つかの縮合剤と反応液を試した。縮合剤としては水溶液中のペプチド結合の縮合剤として一般的に用いられているEDACを用い、反応液にはMES緩衝液を用いた。そしてRNOアッセイよって一重項酸素の産生量を測定し、最終的にビーズのクロリン活性を3mM当量まで上げることに成功した。このビーズをマウスの外側腹側核(VL)に注入し、運動野にレーザーを照射して、運動野からVLへ投射する神経細胞の破壊を試みたところ、運動機能の傷害が観察され、このモデルが上手く機能していることが確認された。今後はこの技術を用いてサルの1次視覚野(V1)から外側膝状体(LGN)へフィードバック投射している神経細胞のみの選択的破壊を目指す。
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