2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 健司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レトロトランスポゾン / 標的配列特異性 / エンドヌクレアーゼ / 進化 / リボソーマルRNA遺伝子 / 垂直伝播 / 棘皮動物 / 扁形動物 |
Research Abstract |
ヒトのレトロトランスポゾン、L1は転移により、筋ジストロフィーなどの様々な遺伝病を引き起こすことが知られている。一方、特定の配列のみに挿入する"配列特異的"レトロトランスポゾンは、これまでに3グループが見つかっている。この配列特異性は、反復配列に挿入することで宿主への害を最小限にして宿主との共存を図る生存戦略として捉えることができる。 そのうちの1グループである初期分岐群に属するレトロトランスポゾン、R2は、28SリボソーマルRNA遺伝子の特定の位置にのみ挿入することが知られている。R2はこれまで昆虫を含む節足動物に幅広く分布することが示唆されていたが、我々は2004年2月にR2がカタユウレイボヤ、ユウレイボヤ、及びゼブラフィッシュという3種の脊索動物に存在することを報告した。 私は本年度の研究において、R2が脊索動物門の中では、メクラウナギ類のヌタウナギ、硬骨魚類のメダカ、アカヒレ、爬虫類のクサガメにも存在していることを発見した。また、節足動物門と脊索動物門の他に、棘皮動物門に属するトリノアシと扁形動物門のマンソン住血吸虫にも分布していることを明らかにした。更に、分子進化学的解析によって、R2が垂直伝播によって数億年間もの間、維持されてきたことを示した。以上のことから、R2はこれらの動物門の共通祖先の時点で既に28SリボソーマルRNA遺伝子への配列特異性を獲得しており、その配列特異性を保持しつづけながら、生物の種分化に従って多様な生物に分布するようになったことが示された。
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