2005 Fiscal Year Annual Research Report
高感度スペースガンマ線検出器によるブラックホールからの非熱的放射の解明
Project/Area Number |
04J11353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 孝明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / ガンマ線天文学 / X線検出器 / ガンマ線検出器 / 半導体検出器 / コンプトンカメラ / CdTe検出器 / ブラックホール |
Research Abstract |
硬X線領域の過去最高感度でのブラックホール観測を実現させるため、本年度7月に打ち上げられた「すざく」衛星(ASTRO-EII衛星)に搭載された硬X線検出器(HXD)の立ち上げ作業に参加した。私は、実際に鹿児島のデータ受信局に行き、そこで、衛星からのデータをモニターし、検出器を無事に立ち上げることに貢献した。さらに、私はHXDのシリコン検出器部分の責任者として、そのデータの詳細解析も行い、天体観測を行うのに必要不可欠な計64個のシリコン検出器に関する各種設定を1つ1つ決定した。 「すざく」衛星による天体観測が本格的に開始されてからは、ブラックホール天体を含むさまざまな観測データの解析を行い、軌道上のデータを用いた較正作業、バックグラウンドのモデル化、およびそのモデルの検証作業に参加した。その結果として、超新星残骸RXJ1713.7-3946の40keVまでの放射を初めてとらえることなどに成功した。 次世代高感度ガンマ線検出器の開発においては、多層半導体コンプトンカメラで重要となる、低消費電力・低雑音アナログLSIの開発に参加するとともに、その評価を主導した。その結果として、1チャンネルあたり0.4mWという低消費電力を達成するとともに、0.3mm厚、0.4mmピッチで、1.28cm角の大きさをもつシリコンストリップ検出器と接続して、半値全幅で、1.1keVというすぐれた分解能達成した。この成果は国内外の学会・研究会で発表するとともに、論文にまとめ、投稿した。
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Research Products
(2 results)