Research Abstract |
超伝導トカマクTRIAM-1Mの強磁場特性を利用して新しい空間分布計測法の開発を試みている.中性原子・分子や不純物イオンからの発光線は電荷数に応じて,炉内のプラズマ温度が特定の領域に局在することがわかっている.通常は,ある仮定のもとで,観測視線上での線積分値から発光密度分布へと変換するが,強磁場下でのゼーマン効果を利用し,またその磁場が空間的に非一様であることを利用すれば仮定を持ち込むことなく局所情報を得ることが可能となる.これまでの研究で,直線偏光板を用いることにより,ゼーマン分裂した発光スペクトルのσ成分のみを計測することで,フィッティング精度を向上させ,本研究の原理を実証する初期的な結果が得られた.本年度は測定精度向上のため,分光器後段に(1)円筒レンズ系からなる拡大光学系(2)素子サイズの小さな背面照射型冷却CCD,を順次組み込み,より高精度での本格的な計測を試みた. 昨年度はICCDを用いた計測を行い,周辺領域におけるHα線の発光分布が得られている.しかし,ICCDに起因するアンプノイズにより,計測されたスペクトルのS/N比が十分ではなく,トカマクの真空容器強磁場側(HFS),弱磁場側(LFS)の発光位置間での磁場強度差が大きい中心付近の観測視線でしか十分な計測精度が得られていなかった.そこで,今年度の実験では,(1)により,分光器による分散像を波長方向に拡大することで,CCD素子面上でのデータ点が増加し,フィッティング精度が向上した.また,(2)により,光電面における量子効率が増加し,計測スペクトルのS/N比が大幅に改善され,周辺の観測視線に対しても高い精度で発光位置の計測が可能となった.
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