2004 Fiscal Year Annual Research Report
代数多様体上の連接層の導来圏から見る極小モデル理論
Project/Area Number |
04J11452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 幸伸 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 導来圏 / 極小モデル / ミラー対称性 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は、主に代数多様体上の連接層の導来圏の変形理論、及びそのフーリエ向井変換との関係を明らかにしたことである。未だ一次の無限小変形のみしか扱っていないが、コンツェビッチによる形式性定理を代数化することによって、高次の場合も解決できると考えられる。私の研究課題は導来圏を用いて極小モデル理論をより概念的なものにすることであるが、これは導来圏の変形理論と次のように関係している。極小モデル理論の重要な概念の一つにK-同値という概念がある。K-同値な多様体は様々な共通する性質を持つと考えられている。例えば特異コホモロジー、変形理論、更には量子コホモロジーといったものが代表例であるが、これらの共通する性質は全て導来圏が同値であるという予想から従うべきである、というのが私の考えである。このうち特異コホモロジーについては導来圏との関係は見やすく、既に以前向井茂氏やOrlov氏が研究していたことを応用することができる。しかし導来圏と変形理論との関係は未だ発展途上である。私は導来圏の変形理論を確立することでK-同値な多様体の変形理論の不変性を説明できると考え、上に挙げた研究を行い、一次の無限小変形についてほぼ満足できる結果が得られた。そしてこの内容を論文「Deformations and Fourier-Mukai transforms」にまとめた。これらの内容はホモロジカルミラー対称性とも深く関わりがあり、この点からも重要視される研究課題であると言える。
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