2005 Fiscal Year Annual Research Report
代数多様体上の連接層の導来圏から見る極小モデル理論
Project/Area Number |
04J11452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 幸伸 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 導来圏 / 極小モデル / ミラー対称性 / 安定性 |
Research Abstract |
今年度の主な研究実績は、3次元クレパント小特異点解消から定まる三角圏のstability conditionの空間を記述したことである。Stability conditionの空間は2002年にT.Bridgeland氏によって導入された概念であり、M.Douglas氏によるパイ安定性の数学的な定式化を与えているとして現在注目を集めている研究対象である。2次元のクレパント特異点解消の場合はT.Bridgeland氏により研究されていたが、3次元の場合は新しい現象が起こることを発見した。それは各々の双有理極小モデルに対応して標準的なstability conditionを構成することができ、それらがstability conditionの空間において領域分解を与えていることである。つまり一つのモデルのみを考えるのでは不充分で、全ての双有理モデルを考えることで初めて記述が可能になる。更に2次元の場合と同様この空間がある有限次元ベクトル空間の開集合上の被覆空間になっていることを示した。そして、これらの結果を論文「Stability conditions and crepant small resolutions」にまとめた。更にCalabi-Yau fibrationをもつ3-foldに対しても同様にstability conditionの空間を記述できると考えている。現在elliptic fibrationを持つ場合には解決しており、K3 fibrationの場合が解決次第、論文にするつもりである。またこの研究を進めていた間、ある新しい導来圏の自己同値のクラスが存在することを発見した。これはP.Seidel氏とR.Thomas氏による球面捻りを一般化したものであり、論文「On a certain generalization of spherical twists」においてこの自己同値を導入した。これらの研究を遂行する上で情報収集等の目的で旅費を必要としたため、科学研究費を使用した。
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