2006 Fiscal Year Annual Research Report
成層火山における大規模なイベントが流域の地形発達に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
04J11458
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 英嗣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地形 / 大規模山体崩壊 / 土砂移動 / 量的検討 / 浅間火山 |
Research Abstract |
湿潤変動帯に属する日本列島の平野は,山地からの土砂供給によって形成された堆積平野である.本研究の目的は,火山を地形学的に意味ある土砂供給源とみなし,インフラや人口が集中する平野の形成に及ぼす影響を評価することである.これまで,2.4万年前の浅間火山の大規模山体崩壊に伴う土砂移動を研究対象としてきた.本年度は主に,1)火山体の侵食現象の量的検討,2)土砂移動プロセスの実態把握を行った.また,3)山体崩壊起源堆積物の地球化学的特性を把握しようと試みている. 1)大規模山体崩壊による特有の地形変化の特徴を浅間火山に適用し,崩壊前後の山体を復元した.その結果,崩壊土砂量を4.0km^3と推定した.次に,山体崩壊起源堆積物の分布に基づき,堆積土砂量を5.0-5.5km^3と見積もった.崩壊土砂量と堆積土砂量との差分は,両者の密度差に起因する「ほぐれ」による効果によって主に説明でき,土砂移動に伴う異質岩塊の付加による効果は副次的であった.すなわち,堆積土砂の大部分は山体を構成していた物質からなることを物質収支的に裏付けた. 2)流れ山が佐久と中之条に分布することにより,浅間火山南麓を下った崩壊土砂は佐久,北麓を下った崩壊土砂は中之条にそれぞれ達するまで岩屑なだれとして移動したことを指摘した.また,「ブロック」の径が給源からの距離に対して指数関数的な減衰傾向にあることを見出し,流れ山が分布しない上田や子持および関東平野北西部に至るまで,流れが一続きであったとの解釈を示した. 3)山体崩壊起源堆積物を多地点にて採取し,それらの全岩化学組成を調べたところ,およそ50-60重量%のSiO_2を含有すること,堆積域ごとに系統的な差異を認め難く,崩壊源である浅間(黒斑)火山の岩石の組成に近いことを示した.
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Research Products
(3 results)