2004 Fiscal Year Annual Research Report
高速XAFS法による表面反応の実時間観測とDFT-モンテカルロ法による機構解明
Project/Area Number |
04J11504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長坂 将成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面反応 / NEXAFS / モンテカルロシミュレーション / プラチナ触媒 / 水生成反応 / 時間分解測定 / 密度汎関数法 / XPS |
Research Abstract |
まずPt(111)上の水生成反応の機構を解明するため、モンテカルロシミュレーションを行った。この反応はPt(111)上に原子状酸素が吸着した表面に水素を流すことにより水を生成させる反応であるが、モンテカルロシミュレーションの結果、表面に吸着したOHとH_2Oの間のプロトン移動が反応に重要であることが明らかとなった。これは表面反応にプロトン移動が関わる最初の例であり、この成果を論文としてまとめた。 次にエネルギー型XAFSを用いて、Rh(111)上のアンモニア生成反応中の化学種の被覆量変化を求めた。この反応はRh(111)上に原子状窒素が吸着した表面に水素を流すことによりアンモニアが生成する反応である。この反応の反応機構を解明することは触媒的にも重要であるが、それ以上に先ほどの水生成反応と合わせて考えることにより、表面上の水素原子の振る舞いについての新たな知見を得られる可能性があるため重要である。エネルギー分散型XAFSはNEXAFSを10秒スケールで測定することができる手法であり、これにより反応中の化学種の被覆量変化が得られる。実験は放射光研究施設Photon Factory BL-7Aで行い、その結果反応がNからNH_2を経てNH_3になるだけでなく、NH_2からNへの分解を伴う複雑な反応であることが明らかとなった。 表面反応の機構を解明するためには、表面上の拡散と相互作用によるアイランド生成について知る必要がある。モンテカルロシミュレーションを行う上でも、その取り扱いを正しく行う必要がある。そこで相互作用を詳細に考慮した拡散を計算できるモンテカルロシミュレーションを開発した。このテストとしてPt(111)上の酸素のアイランド生成の計算を行った。Pt(111)上の酸素のアイランドはCO酸化反応でCOが酸素のアイランドの縁としか反応しないことが知られているように、非常に重要であるが、詳細にこのアイランドを計算した例はほとんどなかった。このシミュレーションにより、原子状酸素のアイランドを再現することができた。これらの成果を論文として発表した。
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Research Products
(4 results)