2005 Fiscal Year Annual Research Report
高速XAFS法による表面反応の実時間観測とDFT-モンテカルロ法による機構解明
Project/Area Number |
04J11504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長坂 将成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面反応 / NEXAFS / モンテカルロシミュレーション / 自動車触媒 / 時間分解測定 / 密度汎関数法 / XPS / 水 |
Research Abstract |
本年度はいよいよDFT-Monte Carlo法の開発に着手した。DFT-Monte Carlo法は吸着種間相互作用などのミクロな情報をDFTで直接求め、その値を用いてモンテカルロ法でメゾスコピックなスケールまでシミュレーションする方法である。広い領域まで計算できないDFTとパラメーター依存が強いモンテカルロ法の両方の弱点を補う方法であり、メゾスコピックスケールの表面反応をab initio的に計算できる新しい手法である。DFT-Monte Carlo法を適用する系は、基礎的な表面反応ながら、長年その反応機構が完全には理解されてこなかった、Pt(111)表面上のCO酸化反応である。まずPt(111)表面上の吸着種間相互作用をDFTにより求めた。計算にはVASPを用い、東京大学情報基盤センターのスーパーコンピュータにより、表面に存在するO,COの2対間相互作用を3原子間の距離まですべて求めた(93通り)。次にモンテカルロシミュレーションをメゾスコピックスケール(28×24nm^2)で行った。Monte Carlo法は実験により得られた吸着、反応、拡散などの素過程の活性化エネルギーをDFTで求めた吸着種間相互作用で変化させることにより行う。Monte Carlo法はC++により汎用的なプログラムを独自に開発して行った。このプログラムにより、どのような表面反応でも計算が可能となった。DFT-Monte Carlo法の計算の結果、実験で明らかになっていた酸素アイランドの縁からの反応がなぜ進行するのかが明らかになった。また速い過程と遅い過程がなぜ生じるのかも明らかになった。これにより長年の課題であったPt(111)上のCO酸化反応の機構を、大方の部分で明らかにすることができた。この成果は今年度中に論文として発表する予定である。
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Research Products
(6 results)