2004 Fiscal Year Annual Research Report
超強酸媒体中における新規環化反応の発見と高度設計型ブレンステッド酸反応系の開発
Project/Area Number |
04J11547
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 聡 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超強酸 / ベンズオキサジン / Meldrum酸 / 局在化反応性軌道法 |
Research Abstract |
1-ニトロ-2-フェニルエタン誘導体を基質として4H-1,2-ベンズオキサジンを合成する超強酸触媒環化反応について、ニトロ基α位の官能基選択、および芳香環上の官能基選択による反応性変化について検討を行った。その結果、芳香環上置換基の電子求引性と環化反応速度には明確な正の相関が見られ、通常のFriedel-Crafts型とは異なった反応機構の関与が示唆された。また,本反応はニトロ基α位におけるエステル基の存在が必須であり、他の置換基存在下では環化反応は進行しないことがわかった。 本反応の拡張として、2-シアノ-3-フェニルプロピオン酸メチルの環化反応について検討を行い、数種の新規なインデン誘導体の合成法を見いだした。 また、異常な強酸であることが知られているMeldrum酸とカルボニル化合物一般について本研究室で開発された局在化反応性軌道法RHO(Reactive Hybrid Orbital)法を用いてαプロトン脱離過程の局在化分子軌道を算出したところ、その空反応軌道のエネルギー準位と化合物の酸性度との間に良好な正の相関があることを見いだした。本研究により、従来は異常と考えられてきたMeldrum酸の酸性度は、その反応軌道準位を基準とすれば他のカルボニル化合物とともに系統的に理解できることが明らかとなった。 なお、平成16年7月1日より6ヶ月間、米国University of Southern California, Loker Hydrocarbon Research InstituteのRoy A.Periana助教授の研究室に滞在して、本研究課題に関連したフィールドワークを行った。
|
Research Products
(1 results)