2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木矢 剛智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミツバチ / ダンス言語 / 初期応答遺伝子 / 脳 / kakusei / 小型ケニオン細胞 / キノコ体 / 神経活動 |
Research Abstract |
1.新規初期応答遺伝子kakuseiを用いた、新たな神経活動のマッピング法の確立 ミツバチのダンス言語に関わる脳領野を探索する目的で、私は初期応答遺伝子を用いたミツバチ脳の神経活動のマッピングを行うことを計画した。これまでに、私は、新規初期応答遺伝子kakuseiを同定し、本遺伝子が麻酔からの覚醒に伴って発現量が増加するということを見出してきた。私は、本遺伝子が神経興奮のマーカーとして用いることができるのではないかと考え、以下の2点について検討を行った。(1)kakuseiの発現を検出できるか(2)神経興奮に応答してkakuseiが発現するか。その結果、非常に少ないkakuseiの発現を高感度in situハイブリダイゼーション法によって検出する実験システムを確立した。また、その上で、光の照射による自然な神経活動刺激により、ミツバチの視覚中枢である視葉において、kakuseiの発現が誘導されるということを確認した。以上の結果から、私はミツバチの脳での神経活動を検出する、新たな実験系の確立ができたと判断した。 2.ミツバチのダンス言語に関わる脳領野の探索 次に、本実験系を用い、ミツバチのダンス言語に関わる脳領野の探索を行った。まず、通常、ミツバチは暗い巣の中におり、行動を観察しながらの採取ができないので、今回、新たに、透明なプラスチックを用いた観察巣箱を作成した。次に、そのような巣箱から、ダンスを踊るダンス蜂、ダンスに追従する追従蜂、ダンス行動に関わらない対照群として育児蜂、を採取し、それぞれの脳でのkakuseiの発現を調べた。その結果、ダンス蜂の脳のキノコ体の小型ケニヨン細胞において多くのkakuseiの発現が認められた。このことは、キノコ体小型ケニオン細胞がダンス行動の過程に関与していることを示唆している。
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