2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木矢 剛智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミツバチ / ダンス言語 / 初期応答遺伝子 / kakusei / ケニオン細胞 / キノコ体 / Foxp2 / 神経活動 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、ダンスを踊るミツバチの脳における神経の活動を調べた。具体的には、 ・ダンスを踊っているミツバチとダンスを踊る前段階のミツバチにおいて、脳における神経活動のパターンを比較した。この際には、昨年度に開発した、新規初期応答遺伝子 kakusei を用いた。その結果、ダンスを踊っているミツバチと、踊る前段階のミツバチにおいて、神経活動のパターンに違いは認められなかった。この結果は、ダンスを踊っているミツバチの脳において見られた神経活動は、ダンスそのものというよりは、それ以前の「ダンスに必要な情報を統合する段階」に関わっている、ということを示唆している。 ・次に、上記段階において認められた神経活動が、「ダンスに必要な情報を統合する段階」の中でも、どのような行動素過程に関係しているかということを調べた。そこで、ミツバチの視覚経験の関与を検証した。その結果、視覚経験において見られた神経活動のパターンとダンスを踊るミツバチに見られるパターンが異なっていることを明らかにした。 2.転写因子Foxp2の発現解析 ヒト言語障害家系の遺伝学的解析より、言語能力に関わりがあることが報告された遺伝子Foxp2のミツバチホモログを同定し、発現解析を行った。Foxp2は哺乳類・鳥類における解析より、音声学習に関わりのあることが示唆されている。ミツバチのダンス言語も、聴覚を介した情報伝達であることから、その関わり、特にFoxp2の関わる神経回路を調べる目的で、その発現を解析した。具体的には、 ・Foxp2のミツバチホモログを同定した。 ・各発生段階における発現をRT-PCRにより調べたところ、生後1週間で発現量が約2倍になるが、その後は分業等に応じた発現量の変化はないということがわかった。 ・さらに in situ hybridization法により、Foxp2発現細胞の局在を調べたところ、視葉付近に発現細胞のクラスターがあることを見出した。
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