2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11626
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川上 達也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(CD1)
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Keywords | 魚卵 / 種査定 / 浜名湖 / ミトコンドリアDNA / DNAデータベース |
Research Abstract |
本年度は、浜名湖に出現する魚類および魚卵の採集、および採集した魚類のDNA解析をおこなった。 (1)本研究ではまず浜名湖産魚類を網羅したDNAデータベースを作成することを目的とした。浜名湖においておこなわれている袋網漁の漁獲物から、2004年4月〜2005年10月に15目63科119種類に属する計212個体を採集した。そのうち30種についてミトコンドリアDNAの16SrRNA領域の約1000塩基対の配列を決定した。 (2)浜名湖内に出現する魚卵を、湖内に8ヶ所の定点を設定し、プランクトンネットにより採集した。採集した魚卵は顕微鏡下で写真を撮影した後、DNA解析用標本としてエタノール保存した。2004年8月〜2005年11月に計6408個の魚卵を採集した。2004年8月〜2005年2月までのサンプル(1977個)を形態によって分類した結果、26種類に分けられ、5種(イシガレイ、カタクチイワシ、スズキ、ホウボウ、メイタガレイ)は種まで同定できたと考えられた。 (3)前述の26種類を含む計258個の卵を孵化実験に供し、その卵内発生を観察、記録した。 (4)2004年12月〜2005年11月の期間で魚卵の出現量の周年変化を調べた。合計5149個の魚卵が採集された。密度は、湖口に近い定点では比較的均一だったのに対し、湖中央部の定点では明瞭なピークが認められた。カタクチイワシの卵はほぼ周年を通して採集されたが、9〜10月に湖中央部から奥部において明瞭なピークが認められた。このことから猪ノ鼻湖から湖中央部がカタクチイワシの産卵場になっていることが考えられた。イシガレイ卵の出現量は1月に明瞭なピークがあった。また、湖口の定点で密度が低く、湖中央部の定点で密度が高かったことから、女ヶ浦沖から湖中央部が産卵場であることが考えられた。このように、浜名湖内に産卵場をもつ魚種がいることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)