2004 Fiscal Year Annual Research Report
アダプタータンパクLnkによる造血幹細胞の自己複製制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
04J11684
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高柳 晋一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シグナル伝達 |
Research Abstract |
幹細胞は、自己複製能と多分化能を併せ持つ細胞であると定義され、これを応用する再生医療には大きな期待が寄せられている。これには、試験管内で幹細胞の未分化状態を維持したまま増殖させるプロセスが必要不可欠であるが、多くの組織幹細胞では実現していない。本研究では、幹細胞の生体外増幅を実現するための手がかりとしてシグナル伝達分子Lnkに注目し、分子生物学的手法による造血幹細胞の自己複製制御機構の解明を試みた。 初年度は、極めて希少な細胞集団であるマウス造血幹細胞をソースとして、cDNAライブラリーを作製することに成功した。これを用いて、Yeast two-hybrid screeningによりLnkタンパクと結合する分子の探索を試みた。研究室内にノウハウがなく、技術的な問題にぶつかりながら、いくつかの候補タンパクを得ることができた。今後は、この手法の問題点である偽陽性クローンを排除すべく、免疫沈降法などさまざまな方法で候補を絞り込んでいく予定である。 また、本研究の着想を得た、造血幹細胞の数・活性が上昇しているLnkノックアウトマウス由来の造血幹細胞と、野生型マウス由来の造血幹細胞における遺伝子発現を網羅的に比較することを試みた。Microarrayを用いて解析するにあたり、造血幹細胞由来のcDNAは極めて少量であるため、PCRを用いた増幅後に色素で標識した。この結果、野生型マウスと発現レベルの異なる遺伝子として、ミトコンドリア由来のDNAが唯一得られたが、これがLnkシグナルの下流分子でないことは明白である。今後は、技術的に改善するために、造血幹細胞由来のcDNAの合成および標識法として、より定量的なtwo-cycle target labeling法などを用い、継続していきたいと考えている。
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