2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11791
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石橋 哲 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経再生治療 / 神経幹細胞 / 脳梗塞 / 局所脳虚血モデル / 行動機能評価 / シナプス形成能 / 多分化能 / 砂ネズミ |
Research Abstract |
我々は、砂ネズミ局所脳虚血モデル(脳梗塞モデル)を使用し、神経再生治療法の治療効果を検討している。平成16年度に報告した論文では、ヒト胎児全脳由来の神経幹細胞(Neurospherre cells)を脳虚血4日後に局所脳虚血モデルの線条体に移植することにより、神経脱落症状が著明に改善することを見いだし、脳梗塞後遺症に苦しむ非常に多くの患者さんに対する治療法として期待のもてる結果であった。我々は、局所脳虚血後の神経症状を長期に評価できるシステムを報告し、本年もさらに錐体外路症状を選択的に評価できる方法を開発し報告した。すなわち、神経幹細胞移植に対する神経症上改善効果は非常に信頼できるデータ」であると考えている。 移植された神経幹細胞の、約8%は生存し、生存細胞の40%程度が神経細胞へと分化し、さらにはホスト神経細胞とシナプス結合することを、蛍光蛋白遺伝子をレトロウイルスベクターにて導入したヒト神経幹細胞を用いた検討でつきとめたが、移植群は梗塞体積の減少効果もあり、神経幹細胞移植が脳梗塞の神経症状を改善させるメカニズムは今後解明するべき課題と考えられた。 そのメカニズムを解明する一つの方法として、我々は細胞に遺伝子導入することによりほぼすべての細胞を神経細胞へ分化させ移植することにより、移植細胞の神経細胞への分化が重要であるか否かを判断する予定である。現在、神経細胞を純粋に増殖させることには成功しており、着実に成果があがっていると考えている。 また、移植された神経幹細胞からは様々な液性因子が放出されており、液性因子による神経保護作用、あるいは内因性神経前駆細胞増殖の賦活化作用があるかどうかを検討している。 今後、臨床応用へ向け上記の詳細な神経幹細胞移植治療法の治療効果とそのメカニズムを解明し、霊長類脳梗塞モデルでの検討を行いたいと考えている。
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