2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代メソポタミアにおけるシュメル語祈祷シュイラの研究
Project/Area Number |
04J11820
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴田 大輔 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際研究者交流 / メソポタミア / 楔形文字文書 / 祈祷 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き先ず2005年4月1日から2005年10月20日まで、さらに2006年1月9日より同年2月8日までドイツ連邦共和国ハイデルベルク市に出張。同市ハイデルベルク大学西アジア言語文化学科の専門図書館を用いながら研究課題の遂行に取り組む。本年度に遂行した課題は以下の三点にまとめることが出来る。 (1)昨年度に諸博物館において収集・解読した各祈祷の写本(楔形文字粘土板文書)を基に、各祈祷文書のクリティカル・エディション(文献学的編纂)を作成。具体的には各祈祷文書の文面を再構成し、その翻字、独語訳、注釈を作成。注釈では主として以下の問題が取り扱われた。各祈祷文書における特定箇所の字体・文法・語彙の問題、破損箇所の補完可能性とその論拠、特定箇所の理解を深めるための平行例の引用。 (2)上述クリティカル・エディションのための序章の作成。序章を構成する主要な項目は以下の通り。当該祈祷に関する研究史概観、祈祷ジャンルの名称「シュイラ」の検討、祈祷ジャンルの年代に関する考察、祈祷の古代におけるカタログ文書のクリティカル・エディション、祈祷の古代における編纂可能性の検討、各祈祷の構成の分析と類型化、各祈祷の祭儀的脈絡の研究、各祈祷の転用と伝承の問題。 (3)上述の成果をまとめた原稿の作成。 当該原稿を、出張先ハイデルベルク大学西アジア言語文化学科のスタッフであり、関係分野の世界的第一人者であるシュテファン・マウル教授とハルトムート・ヴェッツォルト教授に提出した。極めて高い評価を得た一方で、様々な重要な指摘を受ける。来年度は、両教授から受けた指摘を参考にしながら、当該原稿の研究書としての出版を目指す。
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