2004 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティカルな遺伝子発現を制御する新規転写復合体による発癌機構の解明
Project/Area Number |
04J12024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 英俊 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAのメチル化 / RNAヘリケースA / MBD2 / 発癌機構 / エピジェネティックス / CRE / 遺伝子発現 / 転写抑制 |
Research Abstract |
DNAのメチル化はエピジェネティックな遺伝子発現調節機構の一つであり、細胞のがん化、発生分化などに多様な生物学的応答に重要な役割を担っていると考えられている。発がんにおいて遺伝子の変異を伴わない遺伝子発現の量的変化(エピジェネティックな変化)が重要である。転写活性化複合体の破綻に始まり、DNAのメチル化、転写抑制複合体の形成、さらには、転写抑制という各反応が段階的、かつ、連続的に起こると考えられている。 申請者は昨年度、メチル化されたCREに結合する因子としてMBD2aを同定した。代表的なcAMP responsive element(CRE)は多くの癌抑制遺伝子のプロモーター上に存在し、腫瘍細胞において高度にメチル化され転写が抑制されている。DNAのメチル化・脱メチル化を介して遺伝子発現が制御されている。MBD2aが転写抑制複合体と相互作用してメチル化CREからの転写を抑制するだけでなく、RHAと複合体を形成し、転写活性化に機能することを示した。 本研究にてRHA/MBD2a複合体の詳細な機能解析を行なった結果、メチル化したCREに結合したMBD2aにRHAが結合すること、さらに、MBD2a/RHA複合体はメチル化CREへの結合がより強められている可能性が示された。また、人為的にin vitroでメチル化したレポーターを用いたレポーターアッセイにより、RHAが転写抑制に機能する可能性を見出した。以上の結果から、RHAMBD2a複合体は転写活性化複合体として機能するのみならず、メチル化されたCREからの転写抑制の開始に関与する可能性が示された。
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Research Products
(2 results)