2004 Fiscal Year Annual Research Report
直立葉イネの密植増収効果の検証及びイネ農業重要形質を支配するQTLの同定・単離
Project/Area Number |
04J84404
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森中 洋一 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / 草型 |
Research Abstract |
1.直立葉イネの収量試験 ブラシノステロイド受容体遺伝子の変異体d61のアリルd61-7および原品種‘台中65号'(以下T65)を用いた.栽植密度3水準,施肥2水準を設定し,収量調査を行った.直立葉イネとして,より弱い矮性表現型を示すT65の突然変異系統(TM_3-2008)も供した. d61-7については,1穂籾数が約3割増加したが稔実率と千粒重は低下し,いずれの区も単位面積あたり収量は対照品種T65の8割〜10割にとどまり,増収は認められなかった.d61の表現型には籾の小粒化や稔性低下が付随する.そのため表現型が最も弱いアリルを今回は供したが,直立葉および矮性のメリットを活かすには作用力がまだ強すぎるものと考えられた. TM_3-2008については,穂長の短縮,1穂籾数減少,d61-7より程度は弱いが小粒化に伴う千粒重の低下が見られた.このため標準栽植密度での単位面積あたり収量は,T65の9割程度にとどまるが,密植区では特に多肥条件で11%の増収が認められた。この密植・多肥条件下の単位面積あたり収量は,標準密度・標準施肥条件のT65と比較して25%の増収となった.本変異系統の1株穂数は密植条件下で対照の45%程度増加していた.すなわち,密植条件下で受光態勢改善によりもたらされる有効分げつ数維持効果が短穂,小粒といったデメリットの補償にとどまらないことが示唆された. 2.農業上重要遺伝子の同定 日本稲とインド稲ないし野生稲とのイントログレッションラインの分離集団から少けつ,矮性が分離する6系統選出した.これらは雑種弱性や分けつ数の制御に関与する遺伝子の同定に有効である可能性がある.本年度は各系統について分子マーカーによる候補領域の推定を行った.本年度種子数が確保できた系統については来年度に圃場で大規模展開する予定である.
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