Research Abstract |
平成7年度の研究目的を以下のように設定し,平成5年度,6年度の2年間にわたり収集した資料の分析に基づく概括的な研究を行なった。 1)学校不適応行動の動因として働く,「人間の攻撃性」,自己・他者受容性,「Shyness」の表出性,および,「人間の依存性」に関する構造的な把握を通して得られた知見をもとに,最近の児童・生徒の自己および他者に対する陰湿化,あるいは凶暴化した攻撃行動の背後にある心理ダイナミズムについて,学校教育現場における教育臨床心理学的実践に基づいた事例研究により明らかにする。 2)全国の「適応指導教室」の指導実態を踏まえて具体的な指導方略を設計する。 以上から,種々の不適応行動に対する具体的な指導上の方略を設定することが本年度の目的である。 平成7年度の研究目的に即して設定した研究計画,および研究方法に基づき,心理構造的把握を通して得られた総合的知見を基盤として,最近の児童・生徒の心理ダイナミズムの特徴に関して検討し,学校不適応行動に対する指導上の具体的・実践的な方略を設定した。 平成7年度の研究は,以下の方法に依った。 1)教育臨床心理学的教育実践に基づく事例研究。 2)対象は、小学校,および中学校教育現場における複数の学校不適応児童・生徒とする。 3)資料収集は,個別・集団深層面接,行動観察,学校諸記録,家庭訪問記録等による。 4)解析は,行動分析法,および,多変量解析法による。 研究代表者 吉田は,全研究計画の実施に携わり,研究分担者 小熊は,多変量解析法による情報処理を担当した。学校教育現場の8人の研究同人を含めて10名の研究同人は,研究会の設定により,教育臨床心理学的実践,および,事例研究に参加した。 平成6年度の研究成果の1部に関して,以下により報告した。 1)茨城大学教育学部紀要(教育科学).44号.1995,pp.211-230,「『学校不適応』児童・生徒に対する教育臨床心理学的対応 IV-危機介入理論に基づく『適応指導教室』の『介入』方略課題-」 2)日本教育心理学会 第37回総会準備委員会企画シンポジウムII 「学校不適応に対する具体的対応方略」において,研究代表者を企画・司会者とし,研究同人をシンポジストとするシンポジウムを開催。 3)日本教育心理学会 第37回総会 口頭発表,および,ポスター発表による報告。 なお,3年間の継続研究の成果に関して,現在報告書を作成中である。
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