1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451076
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Research Institution | NARUTO UNIVERSITY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
小野 米一 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (60002622)
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Keywords | アイヌ語話者 / 日本語話者 / 日本語北海道方言 / 日本語音声 / アイヌ語音声 / 母語の干渉 |
Research Abstract |
1 アイヌ語話者葛野辰次郎氏(北海道静内町在住)を訪ねて、日本語による談話、アイヌ語によるカムイノミ(神への祈り)等を、デジタルテープレコーダ等で録音するとともに、8ミリビデオに録画した。 2 アイヌ語によるカムイノミについては、アイヌ語の研究者中川裕氏ほかにご確認いただき、文字化資料として、まとめることができた。 3 これまでのアイヌ語話者の日本語資料を分析することによって、次のような新しい知見が得られた。 (1)母語アイヌ語の干渉と思われる特徴が、(1)主に1拍目の音を引き伸ばしがちなこと、(2)母音オとウが近似していること、(3)連母音同化を起こしにくいこと、(4)サ・シャ行音及びザ・ジャ行音の区別がないこと、(5)いわゆる清音と濁音との区別がないか混同が著しいこと、(6)拗音を直音ふうに発音する傾向があること、(7)イントネーションが平板な調子になりがちなこと、など、主として音声面に観察されることがかなり詳細に分かってきたが、文法面においても、(8)助詞「に」「しか」などの用法、(9)自動詞・他動詞の混用、(10)文末の表現、などにアイヌ語の干渉が認められる。語彙面には、借用語がいくつかあるものの、アイヌ語の干渉はほとんどない。 (2)アイヌ語話者たちが身に付けた日本語は、主に明治期・大正期、さらには昭和戦前期のものであり、昭和30年代以降の共通語化が急速に進む以前のやや古い北海道方言である。東北方言的な特徴が基盤となってはいるが、移住者たちが持ち込んだ全国諸方言が混交しあって、織田氏の日本語に淡路島方言から取り入れたと思われる特徴がいくつか観察されることに象徴されるように、近隣在住移住者の日本語方言が反映している。 (3)アイヌ語話者の日本語北海道方言には、個人差がまた少なくない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小野米一: "アイヌ語話者の日本語に見られる母語の干渉-北海道静内町織田ステノ氏の場合-" 鳴門教育大学研究紀要(人文社会科学編). 11. 1-13 (1996)
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[Publications] 小野米一: "アイヌ語話者の日本語音声-アイヌ語音声との関連を考える-" 言語学林(柴田武先生喜寿記念論文集)(三省堂). 1-18 (1996)
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[Publications] 小野米一: "アイヌ語話者のアイヌ語と日本語" ことばの世界(北海道方言研究会20周年記念論文集). 135-157 (1994)
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[Publications] 小野米一: "アイヌ語話者の日本語音声-単音節を中心に-" 北海道方言研究会会報. 55号. 2-9 (1994)
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[Publications] 小野米一 他: "方言の現在〈共著〉" 明治書院(3月25日刊), (1996)