1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640723
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
増田 宏志 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00003111)
|
Keywords | ニンジン / 不定胚形成 / メチルジャスモン酸 / コンカナバリンA / 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 |
Research Abstract |
我々が開発したニンジンの新しい不定胚形成系をもちい不定胚形成の条件を詳細に検討した。その結果、不定胚形成においてニンジン胚軸切片を2,4-Dで前処理する場合その濃度が高くなるに従い処理時間が著しく短縮される。例えば、100mg/lの2,4-Dの場合5分の処理時間で不定胚形成が最大となる。またそれ以降は不定胚形成は阻害される。次に走査型顕微鏡で表皮細胞が分裂して細胞塊形成を経て不定胚が形成される過程を観察した。その結果、細胞塊を構成する細胞が斜めに分裂することにより前不定胚が形成され、それが発達し球状胚、心臓型胚および魚雷型胚が形成される。また不定胚が発達する場合、胚の表層の細胞が突起し伸長し分裂を繰り返しながら胚の層が重なり大きくなっていくものと思われる。この胚表層の伸長する細胞をexpanding cellとよび、この細胞が不定胚形成に決定的に重要であると思われる。この突起し伸長する細胞はインタクトの不定胚や固定した不定胚の横断面について光学顕微鏡でも観察された。これは従来の不定胚形成のメカニズムと異なる概念といえる。細胞塊を構成する個々の細胞が不定胚を形成するかどうかを検討するためにコルヒチン処理を行い個々の細胞を肥大させ、コルヒチンのない培地に移し培養すると肥大した個々の細胞から不定胚が形成された。このことにより細胞塊を構成する個々の細胞が不定胚を形成する能力をもっていることがわかった。一方、不定胚形成におけるメチルジャスモネート(MeJ)とコンカナバリンA(ConA)の影響を検討した。両物質とも魚雷型胚までは形成されるが魚雷型胚で停止するか幼植物体に再生されるがそれは萎縮したもので正常な植物体には再生されなかった。そのかわり魚雷型胚や萎縮した幼植物体の表層から二次不定胚が形成された。これは不定胚形成を考える点で重要な観察である。今回おこなった研究は従来のニンジン不定胚形成系とは異なる系であり、多くの利点をもつことから、今後多くの研究の対象となると思われる。
|
Research Products
(1 results)