2006 Fiscal Year Annual Research Report
ABC型トリブロック共重合体ミセルを鋳型とする中空金属ナノ粒子の合成
Project/Area Number |
05F05380
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中島 謙一 佐賀大学, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANIL KHANAL 佐賀大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 高分子構造・物性 / 自己組織化 / 超分子化学 / 鋳型合成 / ナノ材料 |
Research Abstract |
ABC型(非対称型)トリブロック共重合体をB、Cに選択的な溶媒に溶解すると、Aをコア、Bをシェル、Cをコロナとするミセルを形成することが知られている。例えば、ポリ(スチレン-b-2-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)(略称:PS-b-PVP-b-PEO)を水に溶解すると、PSをコア、PVPをシェル、PEOをコロナとするミセルを形成する。このミセルのPVPブロックに金属化合物陰イオンを結合させた後、還元あるいは適当な化学処理によってナノメーターサイズの金属層を形成させる。これを焼結あるいは有機溶媒で高分子を除去し、中空金属微粒子が得る。本研究は、(i)このようなコア-シェル-コロナ型高分子ミセルを鋳型とする新しい中空金属微粒子の合成法を確立すること、(ii)その中空微粒子の種々の応用を検討することを目的とした。. 昨年度はPS-b-PVP-b-PEOミセルを鋳型として中空金微粒子の合成を試みたが、所期の粒子を得ることができなかった。本年度はその続きの実験を行い、さらに中空シリカ微粒子の合成を試みた。 【1】高分子ミセルの調製 PS-b-PVP-b-PEOをジメチルフォルムアミド(DMF)に溶かした後、透析法によって溶媒を段階的に水に置き換えて高分子ミセル(直径:約100nm)を得た。さらに、溶液をpH4に調整してPVPブロックを陽イオン化した。 【2】中空金微粒子の合成 前記の高分子ミセル水溶液にAuCl_4^-イオンを加え、PVP層に静電結合させた。これを還元した後、凍結乾燥し、窒素雰囲気下で焼結して中空金微粒子を得ることを試みた。還元剤をいろいろと変えて実験を行ったが、得られたのは直径約10nmの中実粒子のみであった。よって、中空金微粒子の合成は一旦、保留することにした。 【3】中空シリカ微粒子の合成と特性解析 前記の高分子ミセル溶液に、シリカの前駆体であるテトラメトキシシランをミセル溶液に加え、2日間攪拌してゾルーゲル法によりシリカ層を形成させた。次に、500℃で4時間焼成して鋳型の高分子ミセルを取り除き、シリカの中空微粒子を得た。得られた中空シリカ微粒子を透過型電子顕微鏡測定で測定したところ、粒径は30nm、空洞径は11nm、シリカ層の厚さは10nmであった。この成果はJ.Am.Chem.Soc.誌に掲載された。
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