2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05759
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深澤 英隆 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PROHL Inken 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 日本仏教 / 宗教の実践 / 日常宗教 / 宗教理論 / 儀礼 / 宗教とツーリズム / 仏教寺院 / 宗教の諸次元 |
Research Abstract |
初年度はまず、現代日本の仏教寺院の活動に関する関連文献および宗教の実践に関わる理論的文献を収集・検討するとともに、現時点での「日常宗教」としての仏教の記述技法および理論化についての見通しを立てることを試みた。フィールド調査にあたるプロールは、参入調査の準備を済ませたのち、典型的な檀家寺院である、長野県小布施市の岩松院での持続的な参与観察とインタビュー調査にあたった。プロールはまた、小布施の他の曹洞宗寺院や鈴鹿市の寺院においても同様の調査を行った。とりわけ一連の埋葬儀礼や得度式等の観察や、仏教寺院に関わる多様な人々へのインタビューを通じて、プロールは、仏教寺院の「日常宗教」としての多面的な性格を構造的に解明し、またそれを複合的な視座から記述することを試みた。一方深澤は、プロールとの共同研究のかたちで、宗教の日常的・実践的世界の記述と構造的解明の可能性を探った。従来、「宗教の次元論」と呼ばれるものが、宗教のさまざまな次元(神話、教義、宗教経験、儀礼、等々)を指摘し、その相互関連について言及してきたが、次元論そのものは大きな発展を見ないままに、今日に至っている。また宗教研究は、あいかわらず宗教のいずれかの次元に重きを置き、それを中心に宗教像を描きがちである。しかし「日常宗教」や宗教の日常的「実践」を解明するためには、こうした宗教のさまざまな次元がいかに一体的に絡み合いつつ宗教の日常を形成しているかが明らかにされなければならない。逆に言えば、宗教の日常的実践の構造の解明は、宗教の諸次元をめぐる議論に対し、有意義な貢献をなしうると考えられる。こうした点の理論的解明は、次年度の課題である。
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Research Products
(4 results)