2005 Fiscal Year Annual Research Report
種・系統特異的なmiRNA・snoRNAと標的遺伝子のゲノム進化・機能進化の解析
Project/Area Number |
05J00046
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
大西 啓介 国立情報学研究所, 学術研究情報研究系, 特別研究員
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Keywords | non-coding RNA / snoRNAクラスター |
Research Abstract |
non-coding RNA複合領域内のsnoRNAクラスターに関して、これまでに解析をおこなった種にウシを加え、分子系統解析をおこなった。その結果、クラスター1ではほ乳類の種間で高度に保存されているメンバーが多いが、クラスター2ではそれぞれの系統で特異的に重複したメンバーが非常に多いことが明らかになった。このことから、クラスター1と2は明確に異なる進化を果たしたことが明らかとなり、標的との相互作用の様式がそれぞれ異なることが示唆された。標的遺伝子の探索に関しては、それらの短さおよび標的と2本鎖を形成する際の特異性の低さなどにより、標的予測に関しては成果が得られていないのが現状である。 複数のエキソンクラスターをもつ昆虫のDSCAM遺伝子は非常に興味深い遺伝子構造であり、本遺伝子と同じドメイン構造(10個の免疫グロブリン(Ig)ドメインと6個のファイブロネクチンタイプ3(FNIII)ドメインからなる)をもつ遺伝子は脊椎動物にも存在するが、それらはエキソンクラスターをもたない。しかし、Igドメイン、FNIIIドメインの各ドメインに配列を分断し、これらを用いて分子系統解析を行った結果、脊椎動物と昆虫のDSCAM遺伝子はオルソローグであることが明らかとなった。また、ドメイン構造とイントロンとの位置関係を解析することにより、脊椎動物では各ドメイン間に例外なくイントロンが存在することが明らかとなった。一方、昆虫では各ドメイン間にイントロンが存在することも多いが、イントロンの位置は各系統によって大きく異なることが明らかになった。このことから、DSCAM遺伝子は各ドメインの単純な反復により誕生し、脊椎動物ではその構造が保存されていること、及び昆虫ではイントロンの挿入、欠失が頻繁に起こり、それに関連してエキソンクラスターが誕生した可能性を示唆する結果を得た。
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