2005 Fiscal Year Annual Research Report
旧世界ザルに於けるHIV-1複製阻害機構の解明と新規サル感染モデルの開発
Project/Area Number |
05J00561
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鎌田 和弥 徳島大学, 医科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウイルス / HIV / AIDS / 種特異性 / サル / Gag / Vif |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)はヒトとチンパンジーにしか感染しない。しかもチンパンジーはその希少性や低AIDS発症能から実験動物に適していない。本研究では旧世界サルの持つHIV-1複製阻害機構を解析し、その結果をヒトのHIV-1感染を個体レベルで予防/阻害する機構の構築や、HIV-1/AIDS研究に最適な動物モデルの開発につなげる事を目的としている。 これまでの研究成果より旧世界ザルでのHIV-1複製阻害は 1.サル細胞のHIV-1複製必須因子の欠如ではなくHIV-1複製阻害因子の存在に起因する 2.ウイルスGag遺伝子が一部の複製阻害に関与する 事が示されているが、詳細は依然としてよく分かっていない。 この問題の解決の為に、HIV-1をベースにしてGag(CA)遺伝子の一部とVif遺伝子をアカゲザル由来免疫不全ウイルス(SIVmac)に置換した変異体を多数作成し、HIV-1の種特異性に関わるウイルス遺伝子領域の厳密な特定とサル感染動物モデルに最適な分子クローンの作成を試みている。 本年度は予定していた全ての変異体作成に成功し、それら変異体のヒト293T細胞でのウイルス産生能とウイルス粒子の安定性(Gag蛋白の開裂など)をウエスタンブロット法により解析した。その結果、ほぼ全ての変異体がHIV-1標準株NL432と同等のウイルス産生能を示し、そのウイルス粒子の安定性についても殆ど異常が見られないことを確認した。これらの結果からHIV-1/SIVmac間ではGag(CA)遺伝子の大半の部分が交換可能である事を示唆した。また、Gag(p2)領域置換を持つ変異体でのみGag蛋白のプロセシング異常を検出したが、これはHIV-1/SIVmac間でのプロテアーゼ認識の違いに起因すると思われる。 現在は作成した変異ウイルスのヒトとサルのリンパ球株化細胞に対する感染性とそれら細胞中でのウイルス増殖を解析中である。
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