2006 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞DNA複製再開系を用いた損傷DNAの複製フォーク後退メカニズムの解析
Project/Area Number |
05J00870
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅野 毅治 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA複製 / 複製フォーク後退 / DNA損傷 / 複製中間体 / 原子間力顕微鏡 / WRN / BLM / RecQ5B |
Research Abstract |
本研究では、DNA損傷などにより進行を阻害された複製フォークがDNA複製を再開する機構のひとつと考えられる複製フォーク後退機構を明らかにすることを目的としている。本年度は昨年度に確立した試験管内無細胞DNA複製再開系を用いて、引き続き解析を行った。 昨年度は、この実験系において、HeLa細胞抽出液とXP-V細胞抽出液を用いた場合に、紫外線照射によりDNA上に形成される損傷であるcyclobutane pyrimidine dimer(CPD)と6-4光産物によって特定の複製中間体が誘発されることをneutral-neutral two-dimensional agarose gel electrophoresis(2D gel)法によって明らかにした。そこで、本年度は損傷によって誘発される複製中間体の構造を原子間力顕微鏡(atomic force microscope ; AFM)を用いて直接的に観察した。 その結果、HeLa細胞抽出液、XP-V細胞抽出液のどちらを用いた場合も、鋳型DNA上に6-4光産物が存在するときのみチキンフット型DNAと考えられる構造をとっている分子を検出できた。チキンフット型DNAは、複製フォーク後退機構に特徴的な複製中間体と考えられ、本結果は哺乳類細胞内でも複製フォーク後退機構が存在することを示唆する。しかし、観察できたチキンフット型DNAの数は極めて少なく、今後も詳細な解析が必要である。 現在、国外の他の研究グループが複製フォーク後退機構に関与していると報告したタンパク質であるRecQファミリーヘリケースのWRN、BLM、RecQ5Bを精製し、これらの因子が本実験系に及ぼす影響も解析している。
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