2006 Fiscal Year Annual Research Report
代数曲線上のモノドロミー保存変形から得られるハミルトン系についての総合的研究
Project/Area Number |
05J01179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
眞野 智行 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | モノドロミー保存変形 / パンルヴェ方程式 / 代数曲線 / 楕円曲線 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、楕円曲線上のフックス型方程式のモノドロミー保存変形を対象とする研究を行った。まずこれまでの成果を具体的に述べると、フックス型方程式の独立変数の定義域が楕円曲線から2点を除いた領域であると考えたとき、2点つき楕円曲線の族という対象が自然に考えられる。すると族の境界に、特異点を持つ2点つき有理曲線が現れる。そこで、この有理曲線上でのモノドロミー保存変形を定式化し、その解が、特異点解消を通じて第6パンルヴェ方程式の解およびそれに付随するτ商を用いて記述できるというのが昨年度に得られた成果であった。ここで残された問題として特異有理曲線上のモノドロミー保存変形の解を構成する際、2次方程式を解く必要があったのであるが、この現象に対して、今年度行った研究により、直接計算によって一般的な状況ではこの2次方程式の解は必ず分岐するということを示した。またこれに対応してモノドロミー保存変形を記述する非線形微分方程式が必ず非自明な位数2の解の自己同型を持つということを明らかにした。だがここまでは2点付き楕円曲線の族に関して、個々のファイバーを固定した上でのモノドロミー保存変形の考察であった。さらに本年度は楕円曲線を変形したときにこの解がどのように振舞うかの考察に着手した。より具体的に述べると、特異曲線上のモノドロミー保存変形の解を第6パンルヴェ方程式の解およびτ商を用いて表示した時、これをある意味での初期条件として、その近傍にある非特異楕円曲線上のモノドロミー保存変形を記述する問題である。様々な実験的考察から、基本的アイデアとしてモノドロミー不変量を族のパラメーターに関して展開し、位相的なねじれから生ずる多価性を取り除いた上で陰関数の定理を用いて解を構成するという筋道が得られた。しかし必要な不変量の一部が未構成のため完全な構成には未だ至らなかった。
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