2005 Fiscal Year Annual Research Report
純電子プラズマを用いた多粒子系の緩和と平衡に関する実験的研究
Project/Area Number |
05J01702
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 順 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非中性プラズマ / 平衡 / 多粒子系 |
Research Abstract |
純電子プラズマの閉じ込めに関して、強磁場化と高精度アライメントによって粒子損失を減少させ、長時間に渡る閉じ込めと、その間のゆるやかな緩和過程の観測が可能になっている。この特性を利用し、Penningトラップ中での純電子プラズマの平衡状態への遷移過程の実験的研究を行い、以下にまとめられる成果を得た。 (1)初期状態を制御して平衡により近い状態から閉じ込めを開始することで、ディオコトロンなどの不安定性を排し、閉じ込め特性を高めた。この結果、1/e閉じ込め時間は600秒に達した。 (2)実験的に観測された平衡状態にある純電子プラズマの2次元線密度分布から、フーリエ・ベッセル展開を用いたポテンシャル高速計算法を活用した数値計算により3次元密度分布を導出した。その結果、実験的な平衡分布は理論モデルに近い回転楕円体状のコアとその周縁部の低密度の分布領域から構成されていることが明らかになった。 (3)エネルギーセレクションにより排出された電子の密度分布形状の解析から、純電子プラズマの温度を導出する手法を開発した。これを用いて、平衡状態への遷移過程にある純電子プラズマの温度変化を計測した。 (4)純電子プラズマの既に確立されている計測法として、CCDカメラと蛍光面を用いた手法がある。ここに、今までにない高性能CCDカメラを導入し、高精度の画像観測システムを開発した。これにより、より詳細な純電子プラズマの渦運動などの微細構造を観測することが可能になった。 (5)Penningトラップ中で平衡状態にある純電子プラズマの固有モードであるDubin modeについて、有限温度および鏡像電荷といった実験条件を反映したシミュレーションを行い、各モードの固有関数と分散関係を求めた。
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Research Products
(3 results)