2005 Fiscal Year Annual Research Report
メチルグリオキサールは解糖系由来細胞増殖調節因子か?
Project/Area Number |
05J01945
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高詰 佳史 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メチルグリオキサール / グリオキサラーゼI / カルシニューリン / シグナル伝達 / MAP-キナーゼ |
Research Abstract |
メチルグリオキサール(MG)は解糖系から生成する。これまでに、出芽酵母においてMGが転写因子Yap1やp38 MAPキナーゼホモログであるHog1を活性化させることを報告してきた。また、MGが細胞内へのCa^<2+>の一過性の流入を介したカルシニューリン(CN)の活性化を誘導することも明らかにしている。本年度は、このようなMGによるシグナルのイニシエーションが出芽酵母に限定した現象であるかどうかを検証するため、分裂酵母におけるp38 MAPキナーゼホモログであるSpc1のMGによる活性化について検討した。その結果、MGはSpc1を活性化することを確認した。さらにMGは、Spc1 MAPキナーゼ経路の機能的上流に位置する二成分制御系に加え、新たなセンシング機構によって細胞に感知され、Spc1を活性化させていることを見いだした。また、Yap1ホモログであるPap1がMGにより可逆的に活性化されることも明らかにした。 一方、出芽酵母においては、MG代謝酵素グリオキサラーゼI遺伝子(GLO1)の発現が、Ca^<2+>刺激時にCNとHog1による拮抗的な制御を受けていることを見いだしている。CNにより制御されるCa^<2+>応答性転写因子としてCrz1が知られていることから、Ca^<2+>刺激時にCN阻害剤であるFK506の添加によるGLO1遺伝子の発現を検討したところ、GLO1遺伝子のCa^<2+>応答は抑制されず、かえって発現レベルは上昇した。CNやCrz1を破壊した株でも、Ca^<2+>だけの処理で、Ca^<2+>+FK506処理時と同程度にまで発現が誘導された。これらのことから、Crz1は見かけ上GLO1のCa^<2+>応答を負に制御していると考えられた。Ca^<2+>処理時にGLO1の発現が不十分にしか起こらないような変異株をスクリーニングしたところ、MSN2欠損株が得られた。
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Research Products
(4 results)